絵本シリーズ【番外編】
むかしむかしのこと。
あるプクリポの家族が住む、大きなお屋敷でのお話です。
そのお屋敷のお部屋で、1匹のモーモンママが卵を温めていました。
隣にいるモーモンパパも優しいまな差しで、今か今かと見守っています。
モーモンの飼い主のプクリポの子供も、赤ちゃんが出てくるのを待ちわびています。
カフェもか『まだかな~まだかな~?』
お母さんプクリポ『もうじき生まれてきそうね。』
カフェもか『名前も考えなきゃ~!』
お母さんプクリポ『ふふ。朝食ができたわよ。さあこっちにいらっしゃい。』
カフェもかが、朝食を食べようと、立ち上がったその時・・・!
卵が突然、カタカタッと動きはじめました。
カタカタカタ・・・パキッ・・・パキッ・・・・
白い卵が、ひとつずつ順番に割れはじめます。
そして中から、ちっちゃなモーモンの赤ちゃんたちが飛び出してきました。
赤ちゃんモーモン『ミャーミャーミャー!!』
カフェもか『わぁ~、生まれてきた~!』
お母さんプクリポ『あら、かわいいモーモンの赤ちゃんね!』
5つのうち、4つの卵がかえりました。
ところが・・・、最後の黒い卵は、なかなか孵化(ふか)しません。
モーモンパパは、心配そうにジッと黒い卵をみつめています。
モーモンママは、ふわふわした羽毛で、一生懸命にあたため続けています。
すると・・・、やっと最後のタマゴが割れはじめました。
バキッ・・・バキバキッ・・・・
「グァグァグァ!!」
カフェもか『わぁ~出てきた~!』
カフェもか『でも・・・かわいくなーい。』
黒い卵から生まれてきたのは、他のモーモンとは似ても似つかない赤ちゃんでした。
見た目も他の赤ちゃんモーモンより大きく、色合いもなんだかみにくいです。
生まれたばかりの黒いモーモンのこを見て、モーモンパパは突然怒りはじめました。
モーモンパパ『ニャニャニャ!!!』
モーモンママ『・・・ニャニャニャニャッ!!!』
2匹のモーモンはもみくちゃになって、取っ組み合いの大ゲンカです。
モーモンパパは、モーモンママを激しく罵っています。
どうやらモーモンパパは、自分の子供じゃないとモーモンママを責めているようです。
カフェもか『ママー!モーモンたちがケンカしてるよー!』
お母さんプクリポ『それは大人の事情ね。仕方がないことよ。』
そして大ゲンカの後、モーモンパパは家を出ていってしまいました。
モーモンママは、5匹の赤ちゃんを平等に可愛がって育てることにしました。
まずは、モーモンママは生まれたばかりのヒナたちに、鳴き方を教えました。
モーモンママ『ニャーニャーニャー♪』
4匹のヒナたち『ミャーミャーミャー♫』
みにくいモーモンのこ『グァグァグァ!!』
4匹のモーモンのヒナたちは声を揃えて歌います。
ところが、何度教えてもみにくいモーモンのこだけは、うまく歌えません。
何を教えてもうまくできない、みにくいモーモンのこに、モーモンママはいらだちました。
そして、あきれ返って大きくため息をつきました。
それから月日は流れ、4匹のモーモンはすくすくと育ちました。
そして、フワフワと空を飛べるようになりました。
4匹のモーモンたち『フワフワフワフワ~♪』
みにくいモーモンのこ『バタバタバタバタッ』
飛び方を教えたのに、みにくいモーモンのこだけは空を飛べません。
「やーい、やーい、お前だけ飛べないんだー!」
「くやしかったら飛んでみろー!」
他のモーモンたちは、飛べないみにくいモーモンのこをからかいます。
そしてモーモンママも、とうとうみにくいモーモンのこを見放してしまいました。
みにくいモーモンのこ『グァグァ・・・。』
みにくいモーモンのこはママからの愛情をもらえず、いつも独りぼっちです。
4匹のモーモンたちも、毎日のようにみにくいモーモンのこをいじめます。
飼い主のプクリポの子供も、みにくいモーモンのこだけを可愛がりません。
これ以上、この家に住んでいても悲しいだけです。
つらくなったみにくいモーモンのこは、家を出ることにしました。
「グァグァ・・・。」
家を出たみにくいモーモンのこは、あてもなく、さまよい続けました。
そして歩き続けると、目の前に大きな森が見えてきました。
お腹ペコペコでふらふらしていると、森の草むらでかわいいヒナたちと出会いました。
みにくいモーモンのこ『グァグァグァ!!』
ひくいどりのヒナたち『ピーピーピー!!』
話しかけると、ヒナたちはピーピーと返事をしてくれました。
ひとりぼっちで、さみしかったみにくいモーモンのこは、なんだかうれしくなりました。
そして巣の中に入りこんで、お母さんが帰ってくるのをいっしょに待つことにしました。
しばらくするとヒナたちのお母さんが巣に戻ってきました。
ヒナたちのご飯を持ってきたのです。
ひくいどりのお母さん『ピーピーピー♪』
ひくいどりのヒナたち『ピーピーピー♫』
みにくいモーモンのこ『グァグァグァ!!』
ひくいどりのお母さん『ピピピピピッ!!!』
1匹だけ鳴き声が違うので、ひくいどりのお母さんはびっくりして怒り出しました。
みにくいモーモンのこを大きなクチバシではげしく突っつきます。
そして、みにくいモーモンのこは、巣から追い出されてしまいました。
「グァグァグァ・・・」
誰からも愛されない、みにくいモーモンのこは、また森をテクテクと歩き続けました。
何日も歩き続けると、ようやく森から抜け出せました。
すると、目の前には美しい大草原が、見渡す限り広がっていました。
まんぞくに食べ物もなく、森を歩き続けたので、空腹で今にも倒れてしまいそうです。
あてもなく一本道を歩くと、遠くの方に人間の姿が見えてきました。
お腹が減ったみにくいモーモンのこは、ふらふらと冒険者たちに近づいていきました。
「冒険者たちは1Pの経験値、1Gをかくとくした!」
「みんな、ゴールドをしっかり拾っておけよー!」
近づいたみにくいモーモンのこはびっくりして、岩かげに隠れました。
どうやら冒険者たちは、か弱そうなモンスターを見つけて狩りをしているようです。
おびえながら隠れていると、目の前で小さなモンスターたちが次々と殺されていきます。
冒険者たちは、お金を拾い集め、すぐにモンスターを探して狩りを続けています。
こわくなったみにくいモーモンのこは、空腹も忘れ、いそいでその場所から離れました。
誰からも好きになってもらえず、森のどうぶつも人間もすべてが敵です。
「グァグァ・・・。」
まんまるのお月さまを見ていると、ときどき涙があふれそうになります。
涙をこらえながら、みにくいモーモンのこはひと目につかないところで眠りました。
そして季節は過ぎていき、とうとう冬が訪れました。
すっかり大きくなった、みにくいモーモンのこも、はじめての冬には戸惑いました。
厳しい寒さが襲いかかり、今にも凍え死んでしまいそうです。
みにくいモーモンのこは、草木の中でじっとうずくまり、寒さを耐えしのぎました。
飢えをしのぐために食べ物を探しますが、それも命がけの毎日です。
人間の冒険者に見つかるとすぐに襲いかかってきます。
いつのまにか、みにくいモーモンのこは他人が信じられない性格になってしまいました。
そのうちに月日は流れ、しだいに暖かさをまし、小鳥たちが美しい声で歌いはじめます。
ついに、春がやってきたのです。
みにくいモーモンのこは、元気をとり戻し、またあてのない旅をはじめました。
そして旅の途中で、すてきなひとつの家族を見かけました。
お母さんが、ちっちゃなヒナたちに歩き方を教えているようです。
失敗して転ぶヒナがいても、お母さんは優しく起こしてあげています。
優しそうなお母さんを見ているうちに、とうとうこらえきれず涙があふれてしまいました。
「あんなふうに仲良しになれたら、どんなに幸せだろう。」
「誰も愛してくれない、生きていても意味がないかもしれない。」
今まで涙を見せず、生き抜いてきたみにくいモーモンのこですが、涙がとまりません。
そして、泣きながらあることに気づきました。
パタパタパタパタ・・・
なんと、知らないうちにみにくいモーモンのこは空を飛んでいました。
「ああ、飛んでる。ぼくはいつの間にか飛べるようになったんだ。」
モーモンママからあんなに厳しく教えられたのにずっと飛べませんでした。
月日が流れ、たくましくなったみにくいモーモンのこはいつの間にか空を飛んでいたのです。
空を飛べるようになった、みにくいモーモンのこは自由に大空を飛び回ってみました。
力強く羽ばたいてみると、自分でもびっくりするくらい、すばやく飛べました。
そして、こわい人間の冒険者たちや敵からも逃れ、大空を飛び続けました。
何日も飛び続けると、眼下に炭鉱と古ぼけた町並みが見えてきました。
「あの洞くつなら静かに余生を過ごせるかもしれない・・・」
あてもなく旅を続けることに、むなしさを感じていたみにくいモーモンのこは、
洞くつにこもって、静かに残りの人生を消化したいと思いました。
そして、みにくいモーモンのこはアクロニア鉱山に入りました。
しばらく洞くつを進んで行くと、たくさんの何かの気配を感じとりました。
そして目の前には、見たこともない種類のモンスターたちがこちらを見ていました。
「ああ、そうか、ぼくを大勢で殺す気なんだ。」
「みにくいぼくはここで殺されるんだ。」
「・・・でもかまわない。」
「どうせ誰からも愛されない、生きていても意味がないんだ・・・。」
みにくいモーモンのこは殺される覚悟を決めました。
逃げることもなく、その場に座り込み、ただ静かに目を閉じました。
すると1匹のモンスターが近づいてきて、優しくなでながらこう言いました。
「はじめまして、かわいい新人さん♪」
「・・・・ぼくが?・・・かわいい?・・・新人さん?」
そして、近くにいた別のモンスターが鏡を見せてくれました。
「おやおや、こんなにかわいいのに。自分の姿を見てごらん。」
そこには、目の前にいる大勢のモンスターと同じ姿が映っていました。
「そうか・・・ぼくはモーモンのこじゃなかったんだ。」
初めて鏡で、自分の姿を見てモーモンのこではないことを知りました。
じつは、かわいいドラキーのこだったのです。
モーモンの卵の中に混ざっていたこと、それは単なる偶然でした。
食卓で食べられてしまう運命だったのに、神さまのほんの気まぐれで生まれてきたのです。
かわいいドラキーのこは、大勢の仲間たちを見て、生きる喜びを感じました。
愛されなかったけれど、温めて生んでくれたモーモンママに「ありがとう」と感謝しました。
「今日からよろしくね♪かわいい新人さん♪」
ドラキーたちは、あたたかく歓迎してくれました。
同じ姿の仲間たちに囲まれたドラキーのこから、生まれてはじめての笑顔がこぼれました。
おしまい!
おまけ
それから月日は流れ、相方を探しに来たぷくみとラッキーはアクロニア鉱山で出会います。
ドラキーのこは、お世話になったみんなに別れを告げ、新たな冒険に旅立ちます。
それからは毎日、夢のように幸せで楽しい日々を過ごすのでした。
ぷくみとラッキーの出会いの話を読み直す場合は下記リンクへ
※アンケートはお一人様1回まで有効です。
コメント
はじめまして
モーモンが大好きで検索して来たんですが何度も読み返しています
悲しいけどいい話です
絵も可愛いし好きです
コメントありがとう~!
何度も読み返してくれてうれしいな~٩( ^ω^)و
ぷくみもモーモン大好きだよ~(#^o^#)
ラッキーにこんな過去があったなんて・・・(涙
ぷくみちゃん、これからもラッキーと仲良くしてあげてねーっ!
コメントありがとう~!
ふたりはプクキュアだからずっと一緒だよ~(#^ㅁ^#)
いつまでも仲良くするよ~✧
泣いた!
モーモンパパママ、まさかの修羅場w
しかし、絵が上手すぎます!本当の絵本みたい!
コメントありがとう~!
ケンカすごかったね~!ぷくみもびっくりしちゃったよ~(・・;)
絵本シリーズはまたやるかもだからよかったら応援してね~(๑•̀ㅁ•́๑)
素晴らしい超巨編です!!
みんな違うことが、素晴らしいのです!!
コメントありがとう~!
えへへ、あんまり褒められると鼻がのびちゃうよ~(*´ω`*)
鼻なかった(๑•﹏•)次回も頑張ります~!
ステキなお話でした~♪面白かった(^^)絵もとっても可愛いー♪
コメントありがとう~!
読んでくれた人がちょこっとハッピーになれるように頑張るよ~(*’ω’*)
これからも応援よろしくね~٩(#^o^#)۶
うっ。゚(゚´ω`゚)゚。
ガチで泣きそうになってしまった!
今回も最高でした!次も楽しみにしてまーーす(=´∀`)
コメントありがとう~!
ぷくみも前回、風邪ひいたときいっぱい泣いちゃったよ~。゚(´□`。)゚。
次回も楽しんでもらえるようがんばる~(‘ω’)ノ
更新お疲れ様です!
絵本を読んでる感じで、話もイラストも素敵でした!
思わず話にひきこまれちゃいました。
ラッキーの生い立ちは辛いものでしたが、仲間やぷくみちゃんに会えてからは、その分幸せになれたんだなーと思いました。
コメントありがとう~!
まかせて~!ラッキーはぷくみが幸せにするよ~(๑•̀ㅁ•́๑)✧
まめさんの応援でぷくみも幸せだよ~!(‘◇’)ゞ
癒された…
ちゃっかり出てるカフェもかちゃんとでろりんPTもいい味だしてますねw
コメントありがとう~!
水色のクイーンモーモンはカフェもかさんの相方みたいですよ~!
次回も癒し癒しでがんばる!╭( ๑❛ᴗ❛๑)و ̑̑
待ってましたよ〜
コメントありがとう~!
なんとか更新できてひと安心です~(*´ω`*)
次回作もがんばるぞ~!( ๑•_•)φ
素晴らしいお話でぷくみちゃんが夢中になって読んでしまったのも納得です
モーモンママに感謝するラッキーに感動しました
コメントありがとう~!
前回、何回も読み直しちゃったよ~(*´ω`*)
ラッキーとってもいい子だから、見かけたらなでなでしてあげてね~ヾ(・ω・ )
おお〜待ってたよ!
コメントありがとう~!
時間かかっちゃったけど更新がんばったよ~(๑•̀ㅁ•́๑)✧